電験対策 学習アウトプット第13弾 電流による磁界4

これまで磁界の大きさはアンペア周回路の法則より求めてきました。

今回はビオ・サバールの法則について考えてみたいと思います。

ビオ・サバールの法則は導体の微小部分に流れる電流が、任意の点Pに作る微小磁界の大きさを表したものです。

円形コイルをの磁界の大きさについて、ビオ・サバールの法則を適用させることを考えたとき、中心に発生する磁界の大きさは円周上のどの微小部分から見ても同等です。

よって、中心の磁界の大きさHは、ΔHの合計となります。微小部分Δlの合計は、考える導体は円周なので、2πr[m]となります。よってH=I/2r[A/m]が求まります。

 

つぎに、次回から説明する磁気回路に関係してくる環状鉄心が作る磁界の大きさについて考えます。

この鉄心に発生する磁界は鉄心内を円周方向へ発生します。

この時、アンペア周回路の法則より、左辺はH×l となります。lは磁路長。

一方、右辺は磁界の作る閉回路内にとおる電流の大きさは、N[巻]×I[A]となります。

よって、H×l=N×I

H=N×I/l[A/m]となります。

 

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電験対策 学習アウトプット第12弾 電流による磁界3

今回はコイルが無限に連なっている無限ソレノイドの作る磁界について考えます。

一本のコイルが作る磁界は図の場合は右ねじの法則より、右側を向きます。

磁界の大きさについては、アンペア周回路の法則を用います。

長方形ABCDを閉曲線と考えると、左辺はH1×l1+H2×l2+H3×l3+H4×l4となります。

このABCD内には電流はないので、右辺は0です。

さらに、磁界の方向は右向きなので、H2,H4はゼロです。

よってH1×l1+H3×l3=0

また、長方形なのでl1=l3である。

したがって、H1+H3=0 → H1=-H3 となります。

 

次に長方形abcdについて考えます。

先ほどと同様に、左辺はH1×l1+H2×l2+H3×l3+H4×l4となります。

右辺はI[A/巻]×N[巻/m]×l1[m]です。

導体に流れる電流はI[A]のため、1巻あたりI[A]となります。1mあたりの巻き数はN[巻]です。また、長方形のabの辺はl1[m]です。

よって、H1×l1+H2×l2+H3×l3+H4×l4=I×N×l1

先ほどと同様磁界の方向は右向きなので、H2,H4はゼロです。

l2,l4は無限に長いと考えるとH3→0

したがって、H1×l1=I×N×l1
 H1=INとなります。

 

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電験対策 学習アウトプット第11弾 電流による磁界2

前回は磁界の大きさについて法則を説明しました。

今回から3回は具体的な例を挙げて、磁界について考えたいと思います。

直線状導体に流れる電流が作る磁界について、その方向と大きさについて考えます。

磁界の向きは電流の向きに対して右ねじの方向になります。図で言うとクロス方向です。

磁界の大きさはアンペア周回路の法則より、閉曲線を導体の一周分と考えると、微小部分の磁界の大きさΔHはどこでもH[A/m]となります。

また、円周なのでΔlの合計は2πrです。

 微小部分×接線方向の磁界の大きさの和=閉曲線内の電流

よって、H×2πr=I1となり、磁界の大きさH=I1/2πr[A/m]となります。

 

ところで、直線状導体の中と外で次回はどのようになるでしょうか。

導体の外については上記と同様です。

問題は導体内です。

導体内の磁界の大きさも上記と同様に、磁界の作る閉曲線と電流の大きさで考えることができます。

導体内ということは導体の半径よりも短い半径の円を考えます。

導体半径をa[m]、導体内の任意の閉曲線円の半径をr[m]とします。

磁界の大きさは円周のどこでもH[A/m]です。

閉曲線円の円周は2πr[m]です。

電流の大きさは、導体半径a[m]の時にI1[A]流れていたということは、r<aなので、

表面積分減るということになります。

つまり、導体の断面積比で流れる電流が減ることになります。

導体の断面積:閉曲線円の面積=導体電流:閉曲線円の中の電流

となります。

よって、閉曲線遠の中の電流は、I1×πr^2/πa^2となります。

したがって、導体内の磁界の大きさはH=rI1/2πa^2[A/m]と求められます。

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電験対策 学習アウトプット第10弾 電流による磁界1

磁界は電界と同じく、ベクトル量です。ベクトルということは大きさと向きで表されます。

磁界は電流の周りに発生し、電流が流れる向きに対して右ねじの方向を向いています。これをアンペア右ねじの法則といいます。

磁界の大きさは、アンペア周回路(積分)の法則によって求めることができます。

電流の作る磁界中に一回りする閉曲線を考えます。

この閉曲線の微小距離をΔl1,Δl2,…Δlnとし、それぞれの微小距離に沿う接線方向の磁界の大きさをΔH1,ΔH2,…ΔHnとします。

この微小距離と磁界の大きさの積の和は閉曲線の電流の和に等しくなります。

ここで求められる式をHに対して解くと磁界の大きさが求まります。

 

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電験対策 学習アウトプット第9弾 静電界と静磁界

今回から磁界について説明していきます。

電界と磁界には類似性があり、本格的に説明する前に比較してみたいと思います。

電界は静止している電荷により作られ、磁界も同様に磁荷によって作られていると考えることができます。

電界の大きさは単位面積当たりの電気力線の本数で表され、磁界の大きさも似たように単位面積当たりの磁力線の本数で表されます。

電界では電束密度はあまり問題でも出てきませんが、磁界では電束密度B[T]はよく出てくるので混同しなようにしましょう。

 

ただし、電荷とは違い、磁化されている物体を分けても、N極とS極が必ず対となります。つまり、磁荷は単体では存在しません。ただ、以下のように類似性を把握していると今後学習する磁界の学習が理解しやすくなります。

 

 

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電験対策 学習アウトプット第8弾 コンデンサ2

前回はコンデンサの並列、直列接続について説明しました。

今回はコンデンサ電荷がたまる様子と蓄積されるエネルギーについて説明します。

 

電圧がかかっていないコンデンサは当然のように0[c]です。

電圧をかけると、電荷がだんだんたまります。

このコンデンサ電荷が溜まりきる前の状態を不飽和といいます。

このときの電荷をq[c]とすると、q[c]の電荷がたまるとき、電圧はV=q/C=qd/εSとなります。(6弾参照)

電圧の式から、電圧は電荷に比例しています。

コンデンサに電源電圧と同じ電圧がかかる(飽和)ときの電荷をQ[c]とすると、電圧はV=Q/C=Qd/εSとなります。

図に表す通り、このときにコンデンサに蓄えられるエネルギーは三角形の面積となり、W=1/2×QV[J]とあらわされます。

 

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電験対策 学習アウトプット第7弾 コンデンサ1

今回は回路に接続されたコンデンサの合成静電容量について説明します。

前回の静電容量と合わせて参照ください。

コンデンサは抵抗、コイルとともに素子として回路計算でもよく用いられます。回路計算をする中で、素子の数が多くなると計算が難しくなります。このとき、複数つながる素子を1つと考えると計算が簡単になります。これを回路の合成といいます。電気回路には並列接続と直列接続の二種類があり、それぞれの複数のつながりを合成することができます。結果としては青枠の公式で合成静電容量を求められるのですが、なぜ求められるか理解しておくことが応用力を高めると考えられます。

(1)コンデンサの並列接続

 並列回路ではコンデンサにかかる電圧が等しいので、コンデンサ1,2,3にかかる電圧はV[V]です。

 次に、たまる電荷はそれぞれQ1=C1×V,Q2=C2×V,Q3=C3×Vとなります。

 合計の電荷量はQ=Q1+Q2+Q3なので、合成静電容量はC=Q/Vとあらわされるので、C=C1+C2+C3とあらわされます。

(2)コンデンサの直列回路

 直列回路ではコンデンサ電荷量がそれぞれ等しくなります。よって、それぞれたまる電荷はQとなります。それぞれの電圧はV1=Q/C1,V2=Q/C2,V3=Q/C3となり、コンデンサにかかる合計の電圧はV=V1+V2+V3となるので、合成静電容量は1/C=1/C1+1/C2+1/C3となります。

 

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